JSON 出力
Rune は、人間のための DX(Developer Experience)とエージェントのための AX(Agent Experience)を両立し、人間とエージェントのどちらも第一級のユーザーとして扱う CLI を作りやすくすることを目指しています。こうした AX の基盤の一つとして、コマンドの実行結果を機械可読な JSON 形式で出力する機能が提供されています。
JSON モードの有効化
Section titled “JSON モードの有効化”defineCommand() で json: true を設定すると、そのコマンドで JSON モードが有効になります。JSON モードでは run() 関数の戻り値がコマンドの構造化された出力となります:
import { defineCommand } from "@rune-cli/rune";
export default defineCommand({ description: "List all projects", json: true, run() { const projects = [ { id: 1, name: "alpha" }, { id: 2, name: "beta" }, ]; return { projects }; },});json を設定しないコマンドの run() は void を返す関数として型付けされますが、json: true を設定すると run() は値を返せるようになり、その戻り値型は runCommand().output.document などに保持されます。戻り値は JSON.stringify() でシリアライズ可能な値である必要があります。BigInt などシリアライズできない値を返した場合、Rune はエラーとして処理します。
json: true のコマンドでは、run() 内で options.json も受け取れます。この値は現在の実行において JSON モードが有効かどうかを表わします。ユーザーが --json を渡した場合と、AI エージェント実行時に Rune が自動的に JSON モードを有効化した場合に true になり、それ以外では false です。ユーザーが明示的にフラグを渡したかどうかを確認したい場合は rawArgs を参照してください。
出力の振る舞い
Section titled “出力の振る舞い”ユーザーが --json フラグを付けてコマンドを実行すると、run() の戻り値がインデントなしの 1 行の JSON ドキュメントとして stdout に出力されます:
$ your-cli projects list --json{"projects":[{"id":1,"name":"alpha"},{"id":2,"name":"beta"}]}--json フラグが渡された場合、output.log() による出力は自動的に抑制されます。一方、output.error() は引き続き stderr に出力されます。成功時には stdout に 1 つの JSON ドキュメントだけが出力されるため、jq などのツールやプログラムから stdout をそのまま利用できます。失敗時には、コマンドが直接 stdout に書き込まない限り stdout は空のままになり、Rune は JSON 形式のエラーペイロードを stderr に出力します。
--json フラグなしで実行した場合は、output.log() が通常通り出力されます。run() の戻り値は表示されません。そのため、人間向けとエージェント向けの両方の出力をひとつのコマンドで提供できます:
import { defineCommand } from "@rune-cli/rune";
export default defineCommand({ description: "List all projects", json: true, run({ output }) { const projects = [ { id: 1, name: "alpha" }, { id: 2, name: "beta" }, ];
// --json なしの場合のみ表示される for (const p of projects) { output.log(`${p.id}: ${p.name}`); }
// --json の場合に JSON として出力される return { projects }; },});JSON モードの抑制対象はフレームワークの output API のみです。console.log() や process.stdout.write() で直接書き込まれた出力は抑制されず、JSON ペイロードに混入する原因になります。コマンドの出力には output.log() と output.error() を使用してください。
AI エージェント実行時の自動有効化
Section titled “AI エージェント実行時の自動有効化”json: true が設定されたコマンドでは、CLI が AI エージェント(Claude Code、Cursor、Codex など)から呼び出されていることを検知すると、--json フラグが明示されていなくても Rune が自動的に JSON モードを有効化します。これにより、人間には読みやすいテキスト出力を、エージェントには構造化された JSON 出力を、単一のコマンドで提供できます。エージェント側が --json の存在を知って付与する必要はありません。
オプトアウト: RUNE_DISABLE_AUTO_JSON
Section titled “オプトアウト: RUNE_DISABLE_AUTO_JSON”RUNE_DISABLE_AUTO_JSON=1(または true)を設定すると、この自動有効化を抑止できます。設定下では、--json が明示的に渡されたときのみ JSON モードが有効になり、人間が実行したときと同じ振る舞いになります。
RUNE_DISABLE_AUTO_JSON=1 your-cli projects list主な用途は、Rune ベースの CLI を開発する AI エージェント自身です。このエスケープハッチがないと、エージェント環境下では常に JSON が返るため、エージェントが検証したい人間向けの output.log() 出力を確認できません。この環境変数が制御するのは Rune の JSON モード自動有効化のみで、ツールチェーン内の他のエージェント検知には影響しません。
テストハーネス runCommand() は既定でエージェント検知を無効化しているため、本環境変数の影響を受けません。
output.log() が重要な理由
Section titled “output.log() が重要な理由”Rune の出力ヘルパーは単なる書き方の好みではありません:
output.log()は人間向けの標準出力を書くための通常の方法です。output.error()は stderr に書き込み、--jsonでも抑制されません。- テストでは
runCommand()がこれらのヘルパー経由の出力をキャプチャできます。 json: trueのコマンドでは、--jsonが渡されたときに Rune がoutput.log()を抑制し、stdout を JSON ペイロードのみに保ちます。
console.log() や process.stdout.write() で直接書き込むと、JSON モードでもその出力を Rune は抑制できません。
run() が明示的な値を返さなかった場合(戻り値が undefined の場合)、JSON 出力は null になります。
エラー時の出力
Section titled “エラー時の出力”JSON モードでコマンドが失敗した場合、エラー情報が error オブジェクトとして JSON 形式で stderr に出力されます。これは run() 内での失敗だけでなく、必須引数の不足などの引数パースエラーにも適用されます:
$ your-cli projects list --json{"error":{"kind":"config/not-found","message":"Config file was not found","hint":"Create rune.config.ts"}}エラーペイロードには以下のフィールドが含まれます:
kind: エラーの種別message: エラーメッセージhint: 解決のためのヒント(CommandErrorで指定された場合)details: 追加の構造化データ(シリアライズ可能な場合のみ)
JSON Lines 出力
Section titled “JSON Lines 出力”stdout に複数の JSON レコードを 1 行ずつ流すコマンドには jsonl: true を使用します。この形式は JSON Lines または NDJSON とも呼ばれます。json: true と異なり、フラグで有効化されるモードではなく、そのコマンドは常に JSON Lines を出力します。
import { defineCommand } from "@rune-cli/rune";
export default defineCommand({ description: "Stream events", jsonl: true, async *run() { yield { id: "a", status: "ready" }; yield { id: "b", status: "done" }; },});yield された各レコードは、1 行のコンパクトな JSON として出力されます:
$ your-cli events{"id":"a","status":"ready"}{"id":"b","status":"done"}JSON Lines モードでは output.log() は常に抑制され、output.error() は引き続き stderr に出力されます。jsonl: true は json: true と併用できず、Rune は --jsonl フラグを追加しません。downstream の pipe が早期に閉じた場合、Rune は broken pipe をエラー出力せず通常の早期終了として扱います。人間向けの表示と JSON Lines ストリームの両方が必要な場合は、stdout の契約が明確になるよう別コマンドに分けることを推奨します。
JSON Lines コマンドがレコードを出力した後に失敗した場合、すでに stdout に書かれたレコードはそのまま有効な JSON Lines として残ります。最後のエラーは compact な JSON error オブジェクトとして stderr に出力されます。ただし stderr には output.error() による人間向け診断も混在し得るため、JSON Lines として保証されるのは stdout のみです。
JSON モードのコマンドのテスト方法についてはテストガイドを参照してください。